●PCJ Interview
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●Company File
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
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・File05 ジナー
・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
・File01 ライカ

●Overseas Photographers
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
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・File06 Mona Kuhn
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・File04 Albert Watson
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・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen

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Digital Tools




▲Layered Ocean (Nares Strait)、2011年(G/P + JAXA + IDEEのプロジェクト)(クリックで拡大)

▲Layered Ocean (Chukchi Sea)、2011年(G/P + JAXA + IDEEのプロジェクト)(クリックで拡大)



●G5からkiss、5D MarkⅡへ

−−キヤノンのPowerShot G5が小山さんの創作活動の1つの契機になったということですが、小山さんの写真を拝見して、強く印象に残るのは色のディテールです。作品を作る道具についてお話ください。

小山:まずカメラですが、PowerShot G5の後にKissを買って、すぐ5Dに乗り換えて、今は5D MarkⅡを使っています。G5を使っていた期間がけっこう長くて、1年半ぐらいそれを使って作品を撮って展示していたんですけど、今から考えたら500万画素でよくやってましたね(笑)。

−−G5はハイエンドとはいえ基本コンシューマー系のデジカメですが、それで活動されていたのもなかなか興味深いです。HIROMIXさんがBiGminiを使っていたことを思い出します。

小山:まあ、お金もなかったっていうのもあるんですけど(笑)。誰もが普通に使える道具で、いかに現実の中にあるものを変換できるかということは考えていて、すごい機材で撮ったからこんなに綺麗な写真になったというのは、写真ってそういうものなのかなという疑問が少しあるのかもしれません。もっと手軽な道具によって世界が変わっちゃうのが写真かなという気もするというか。

−−なるほど。

小山:だからもちろん大きく伸ばしたいし、解像度も高いものを求めているんですけど、中判をなかなか使う気にならないのは、そういうところですね。あとフィジカルな要素が少なくなるのも怖いんですよ、僕はよく歩きながら撮っているので。

「Melting Rainbows」でも、プリントをベランダに置いたりしているのでセットアップではあるけれど、撮る時にはパッと見た瞬間、ここを撮ろうという身体の感覚を優先させようと思っていて、あえてカッチリしたセットアップにならないようにしています。だからガッシリ構えちゃうと、自分の写真がそれでも撮れるのかどうかまだ確信がないですね。


−−ただG5などを使っていると、例えばもう少しピントの精度が欲しいとか、そういう欲求もある気はするんですけど。

小山:あったと思います。ただ2003年、2004年頃だと性能が良くて手が届く金額の一眼レフのデジカメはまだなかったかもしれません。

−−G5の次に使ったKissは、長かったのですか。

小山:いや、Kissは買ってしばらくしたら5Dが出たので、すぐ切り替えました。G5よりKissの方が逆に不満があったというか、もっといいものが撮れると思って一眼レフにしたのにみたいなのがあって(笑)。それですぐに乗り換えたんですね。

−−5Dでは、レンズは何を使っていますか。

小山:100mmのマクロです。最初の頃はズームレンズも使っていたんですけど、途中から1本に。

−−100mmマクロが気に入った理由は何ですか。

小山:写りがズームレンズとは当然違いますし、50mmのマクロだとちょっと広すぎるんですよね、自分の作品には。かなり接写して撮っていると言われることもありますが、実はけっこう引いて撮っている写真もあるんです。100mmマクロだと寄って撮ったときと、引いて撮ったときの差異があまり感じられないところが気に入っています。

●基本はAdobe Photoshop Lightroomだけで仕上げる

−−撮影データの処理はどうされていますか。

小山:RAWデータで撮ってLightroomで現像しています。入稿や保存用にPhotoshopの形式に書き出しますが、Photoshop上でデータをレタッチ、編集することはほとんどないです。

−−意外ですね。色の追求に関してなど、Photoshopなどで相当詰めているのかと勝手に思っていました。

小山:作品によって違うんですけど「entropix」や「Rainbow Form」、「Melting Rainbows」は、そういう過程はないです。「Starry」という、初めて写真を合成したシリーズがあって、一見、星に見える写真ですね。これは撮影した写真を何枚かつなぎ合わせていて、不要な部分を消したりとか、そういう作業はしています。でも通常のスタイルは、Lightroomでフィニッシュが多いですね。

−−RAWデータをLightroomで現像する際に、何か自分なりの設定などはありますか。

小山:ちょっと被っていたら色温度を変えるとか。あとはコントラストを多少付ける程度ですね。ほぼデフォルトに近いところで利用しています。

現像よりむしろ、撮るときの条件を厳密にしています。基本的に街の中のスナップで作る作品に関しては、晴れた日しか撮りません。時間帯も季節にもよりますけど、だいたい午前10時ぐらいから午後3時ぐらいの間です。

−−日光が強い、色温度の高い時間帯ですね。

小山:そうですね。で、夕方になって黄色がかってくると、もう撮らないですね。できるだけ撮影時、つまり入力をベストな状態にして、あとは変換するだけのためにLightroomを使う場合が多いです。ゴミ取りも作品によりますが、ほとんどしないです。

−−ということはやはり、最初のシャッターを押すときが大事ですね。

小山:そうですね。ソフトウェアの性能はどんどん良くなっているとは思うんですけど、ソフトで1段階明るさを上げた写真よりは、もともと1段階明るいところで撮った写真のほうが絶対きれいなのは、フィルムであろうがデジタルであろうが変わらないところなので、そこは意識しています。

−−例えば、すごく気に入った写真だけど少しアンダーだという場合、Lightroomで補正することをよしとするのか、それともNGにするのか、どちらの考え方なのですか。

小山:それはよしとしますね。でも僕の場合は、露光量を+2まであげることはまずないですね。

−−+2は上げない。

小山:+0.5から+1くらいは上げることはあるんですけど、2ぐらいまでいくとちょっとやりすぎかなと思うことが多いです。せっかく撮った元のデータの質が落ちてくる感じがします。だからそういうことにならないように、迷いそうなときは何段階か撮影することもあります。

−−Photoshopも、写真の合成以外はほとんど利用しないとのことですが、レタッチもしないのですか。

小山:基本はしないですね。先日発表したのJAXAの衛星画像を使った「Layered Ocean」というシリーズでは、いくつかの画像を多重露光のように重ねて作品を作ったので、合成やレイヤーの操作はしています。衛星画像データを使うにはチャンネルの操作やレベル補正が必要だったし、基本的に正方形で撮られているので、連続して撮られた2枚の写真をつなげています。その2枚をつなぐために、CS5のPhotomerge機能を使いました。自動的に処理してくれるので助かりました。

−−シャッターを切った瞬間がすべてというアプローチの作品の場合と、「Starry」やJAXAの画像データを用いた作品「Layered Ocean」のように後処理を加えて自分のイメージに近づける。2つのアプローチがあるわけですね。

小山:どちらの場合でも、たどり着きたい完成イメージがある場合には、それを実現させるために必要な方法というか手法を検討して、その方法が目的に見合っていればどんなアプローチでもいいと思います。

−−「Melting Rainbows」をはじめに拝見したとき、絶対Photoshopが絡んでるなと思ったんです(笑)。でも素だったんですね。

小山:はい(笑)、そうですね。そういう風に見えてしまうことも、現代の写真の面白さかもしれません。「Melting Rainbows」の被写体は、虹の広告を撮った写真プリントを使っているから100%自然ではないけど、そこに現象としての生々しさが起こっている。そういうことにすごく興味があります。都市や自然、ミクロやマクロ、具体的なものと抽象的なものなど、ものごとの境界の曖昧さというのは、最初の頃から興味の対象ですね。




▲NONAGON PHOTON 1、2010年(「松戸アートライン」展示風景)(クリックで拡大)



●自動ゴミ取り機能が欲しい

−−CS5の新機能などは使われましたか?

小山:最近、Lightroomにも湾曲収差などが入っているのですが、作品では使わないです。ただ例えば展示の会場写真とかそういうときにはすごく便利で、Photoshopのレンズ補正機能を使うこともあります。

−−作品作りにおいては、レンズの収差を直すということ自体がウソになるということですか。

小山:そんな風には全然思ってないです。Photoshopに限らず、デジタルカメラもそうですけど、テクノロジーを介してできてきたものがウソで、あるがままのものが自然だとはまったく思っていないんです。

悪意の改変というか、あったものをなくして、例えばそれを政治的に使うとかいうのは良くないと思いますけど、でも何かイメージを達成するために、ちゃんと動機と結果が結び付いているのであれば、ポストプロダクションも何も問題はないと思います。

−−なるほど。先ほどゴミを取らないというお話しをされていましたけども、ゴミだなと思ってもなぜ取らないのですか。

小山:作品によっては取ることもありますが、作品に残ったほうがいいゴミと、残ったら作品にとってよくないなと思うゴミが自分の中にあるのかもしれません。この場合のゴミというのは小さな埃などのことで、映像素子についたゴミではありません。

−−Photoshopはバージョン5.5あたりから現在のCS5まで、ずっとお使いということですけども、ツールに関して困っていることとか、もっとこういう機能があればいいなとか、ありますか。

小山:困っていることは特にないですが、ゴミ取りの話が出たので、「これゴミでしょ?」っていう候補をソフト側が検出してくれるような機能があったら楽だと思いますね(笑)。

−−(笑)。

小山:ゴミ検索機能のようなもので、選択された部分を1つひとつ取捨選択できて。Enterキーを押したら瞬時に直してくれたりしたら便利ですね。別にゴミ取りに手作業は求めてないので(笑)。そういった機能があればゴミを取る時には助かります。

−−ワープロの検索置換機能みたいな感じですね。

小山:カメラにノイズリダクションが付いたりしてるのもあるけど、それってモチーフによっては消えちゃいけないものも消える可能性があると思うんです。カメラが勝手にノイズだと認識してしまうと、ユーザーは選択できないじゃないですか。だからその選択の部分はユーザーに任せてくれて、処理をやってくれたらすごく助かるなって、この間ある作品でごみ取りしながら思いました(笑)。


−−色調整が必要な場合はどうされています。

小山:写真にもよるんですけど、基本的にはLightroomでの色温度などの調整と、あまりありませんがPhotoshopでトーンカーブを補正するくらいですね。あと会場写真などの色被りを取るときにはカラーバランスを調整することがあります。

あとはリサイズですね。ちなみに、僕はトリミングもほとんどしないです。今のところ作品として出しているものはトリミングをまったくしていません。

−−本当にシャッターを押す瞬間がすべてなのですね。

小山:そうですね。トリミングしたら写真じゃないと思っているわけではなく、トリミングという可能性を自分の中に置いてしまうと、選択肢が増えすぎて決められなくなっちゃうんですよね。だから撮るときのフィジカルな部分を大切にしているのだと思います。

−−よく、デジタルカメラで撮った画像はフィルムと違い色調などの基準値がないといいますよね。自分の基準はどうされていますか。

小山: 感覚的なものなので 、言葉にするのはけっこう難しいかもしれません。ただキヤノンのデジタルカメラを使い続けているのは、キヤノンで撮ったRAWデータをLightroomで現像するという流れが、自分の中で思っていた色を出しやすいからです。

ずっとキヤノンだからかもしれないですけど、写真をアウトプットするときに、撮る時の状態とまったくイコールの色にしようと思ってるわけではなくて、今こういう光で撮ったらこういう色になるなっていうイメージが頭の中にあるのですが、他のメーカーのカメラで撮るとLightroomで現像してプリントしても何か少しずれている気がするんですよね。

−−なるほど。では最後に今後の展開を一言お願いします。

小山:最近映像も撮っています。 5D MarkⅡにいつもの100mmマクロをつけて撮った映像で、 昨年松戸で開催された「松戸アートラインプロジェクト」というイベントでは「NONAGONPHOTON 1」という映像作品を大きなスペースで展示しました。映像編集や書き出しのためにCS5を揃えましたが、Adobe Premiere Proはとても便利でしたね。

5月にはシンガポールで撮影したプロジェクトをシンガポール・アート・フェスティバルで発表します。あとはコラボレーションや、新作の撮影も進めていきたいですね。

−−ありがとうございました。




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