●PCJ Interview
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・File02 常盤響
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●Company File
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
・File06 駒村商会
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・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
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●Overseas Photographers
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
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・File06 Mona Kuhn
・File05 Diana Scheunemann
・File04 Albert Watson
・File03 Nick Meek
・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen

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Digital Tools




▲スクールガール・コンプレックスの2007年の作品より「loose socks info fusuma」(クリックで拡大)

▲スクールガール・コンプレックスの2008年の作品より「hiding a head」(クリックで拡大)



●利用カメラの変遷

−−後半では道具の話をお伺いしたいんですが、大学時代にニコンを買われ、その後フリーになってからもフィルムを使っていたんですか?

青山:フリーになったときに、改めて機材を揃えようと思いまして、ニコンD2Xを買いました。フィルムカメラも持ってましたが、メインはデジタルカメラです。

−−2005年だったらデジタル一眼も実用的になった頃ですね。今でもニコンなんですか?

青山:ずっとニコン派だったんですが、今は自分の中で過渡期といいますか、実は今使っているのは、キヤノン5D Mark II、ニコンD300、ペンタックス645Dです。今はニコンD3sが欲しいんです(笑)。

−−被写体によって撮り分けるんですか?

青山:そうですね。完全に用途が違うので。ペンタックスは展示用の作品撮影に使っています。僕の場合は、どこまでいっても展示用の作品を作るのがメインなんですね。現在は過渡的でして、プリントはフィルムにこだわるか、完全にデジタルに移行するかの境目にきていて、今は4×5(フィルム)と645Dの両方を使っています。

ただ、デジタルデータの扱いはあんまりしてこなかったので、今でも下手にいじりたくなくて。中途半端にいじるのはダメだなって思っています。露出の調整くらいでしょうか。

−−色の基準はありますか? フィルムには科学的な色味がありますがデジタルの場合だと基準をどこに設けているのでしょう。カメラによっても異なると思います。

青山:仕事に関しては色は気にしないですね。仕事といっても、今は作家性の問われるオファーしかほとんどないので、例えば、「スクールガール・コンプレックス」のニュアンスでアイドルをキヤノン5D MarkIIで撮ったりとか。ニコンは、イベントやブライダルの写真などを撮るときに使っています。

−−後から色味の調整も特に行わない?

青山:現時点では、下手な調整で個性を作るものではないだろうと思っていて。上手くいじれないってとこもありますけど。。

−−空気感は青山さんらしいですよね。

青山:ストロボもレフもほとんど使いません。あくまで自然光だけなので、そういうところかなって思います。何かしらの光を足すと補正しなきゃいけなくなりますから。

−−基本的には自然光なんですね。5D MarkIIで撮ったそのままですか。

青山:金銭的な事情もあったので、レンズも最近まで50ミリのf1.8という安い数千円のを1本しか持ってなかったんです(笑)。

−−そうなんですか? じゃあ「スクールガール・コンプレックス」もそれで撮ったんですか?

青山:元々は、マミヤの6×6、C330Sというカメラで撮ってたんですよ。2眼の蛇腹でレンズ交換できるタイプですね。

−−では写真集もマミヤで?

青山:両方使っています。フィルムのみとかって決めないで、写真展とかでもデジタルとフイルムを混在させてるんですね。




▲Lightroom上でスクールガール・コンプレックスの写真を調整)

▲Photoshop上でソラリーマンの写真のレベル補正を調整



●Photoshopはレベル補正程度で感覚的に

−−デジタルの場合、どの程度コンピュータで処理しますか?

青山:一貫しているのはPhotoshopのレベル補正で山を持ち上げて、後はトーンカーブとカラーバランスを場合によっては少々いじります。ただ明確な基準はなくて、ほとんど感覚でやってます。

写真学校に通っていたときに、モニターはキャリブレーションをやったほうがいいよって言われていたけど、経済的な事情もあり、なんとなく後回しにしていたら今に至ってしまった感じです(笑)。正直、あまり必要としなかったし、写真集を作っても、最終的に印刷するのは紙なんで、モニターの色もまあ厳密でなくてよいです。モチーフやポーズはすごくこだわるんですが。

色は、写真集でも雑誌でも見る場所によって光源が変わるので、なんかこの写真、黄色っぽいなあって思ってたら、照明の影響を受けていたりしますから(笑)。

撮影もなるべく自然光で撮りたいので、ストロボも使わないですし、人工的な光を使うことはほとんどないです。暗くても自然光ですね。そういう意味では、最近のデジタルカメラの性能はかなりよくなっているので助かります。

●暗室感覚で使えるPhotoshop Lightroom

−−撮った写真はどんなソフトでどのように仕上げるのか、ワークフロー的にお話しいただけますか?

青山:今はLightroomメインになってきました。撮影したRAWデータは、iMac本体に一時的にバックアップを取って、外付けハードディスクにコピーします。こちらを作業ファイルにします。そしてハードディスク内のRAWデータをLightroomに読み込むところまでは流れ作業ですね。

実はLightroomはまだ使い始めたばかりなんです。今まではキヤノン、ニコン、ペンタックスそれぞれの標準の現像ソフトを使っていて、そこからPhotoshopへという流れでした。

これまではメーカー標準の現像ソフトでRAWからTIFFにして、それをPhotoshopに読み込み、トーンなどを調整してTIFFで納品していました。Lightroomを使うと、LightroomだけでRAW現像、補正、TIFF変換まで手軽にできちゃうんですね。僕はもともとそんなに写真をいじらないので、Lightroomだけで仕上げまでほぼ終了できます。もし必要があればPhotoshopで追加で調整するって感じです。

−−Lightroomの使い勝手はどうですか?

青山:抜群にいいですね(笑)。

−−RAWからTIFFに現像する段階で、ある程度の調整もLightroom上で済ませてしまうわけですね。

青山:そうですね。RAWを読み込んでパソコンで見ながら露出などを調整します。

カメラマンって、もともとパソコンを駆使して仕事してる人たちではなかったわけですよね。フィルムを使用していた頃はフィルターを使って補正していたのに、今はパソコンを使わなければいけなくなった。そういう意味ではカメラマンはコンピュータやレタッチのプロではないので、そこで極めようと思うなら、レタッチャーになるぐらいの意気込みでやらないといけない。半端な調整って一番ダメにすると思って避けてたんですね。だったら、いじらないほうがいいんじゃないかと。Photoshop上の調整ってなんでもできるかわりに元の写真が劣化していく面があって、だからLightroomはいいなと思ったんです。画面上で段階的に、直感的に、写真を撮る人が使いやすいようにできてるんですね。操作性が本当にいいです。

−−暗室作業に近いイメージですか?

青山:そうなんですよ。他のソフトでもできると思いますが、暗室では覆い焼きと言って一部分だけ覆って、トーンを変えますよね。そういう作業に近い感覚で操作できますね。コンピュータなのに暗室をやってる感じがあるんですよね。

−−Photoshopは汎用的なグラフィックソフトなので、加工が得意ですけれど、写真そのものの仕上げだったらLightroomの方がより青山さんの感覚に近い?

青山:そうですね。操作性や処理速度は本当に大事で、補正したい写真が何百枚あったとしても本当に速いですね。7月に写真集が2冊刊行予定なのですが、2冊同時に進行していて、ちょっと先週からテンパっていたんですけど、Lightroomのお陰で救われました(笑)。

−−データは一括で自動処理することもできますよね。それよりは1枚1枚作業するのですか?

青山:そうですね。暗室作業の話じゃないですけど、微妙な差が出るほうが、僕は好きなんですね。

例えば女性の被写体など、肌の雰囲気とか、自分の個性を出したいときは操作が似てくると思うんですね。かといって一括で同じ補正をするわけじゃないので、1枚1枚微妙なコントロールが必要になってきます。Lightroomはそういった1枚1枚の操作が手軽に直感的に画面を見ながら行えるので、本当にびっくりしました。

それと、デジタルはラチチュードが狭いので、露出をオーバーにしすぎるとデータがなくなってしまいます。なので最終的な仕上がりのイメージよりは暗めに撮ってるんですね。現場で見たときの感じは、フィルムの時代と違うんですよね。僕の場合は、きわどいところというか、仕事だとある程度白飛びしないようにデータを残しておかないと調整がきかないんですよね。そういったときにLightroomの調整は役立ちますね。

−−なるほど。そういった調整もPhotoshopではなくLightroomで。

青山:Photoshopはデジタルカメラを導入した頃からずっと使っています。でもPhotoshopもLightroomの時と使用している機能はほとんど変わらないです(笑)。

−−Photoshopならではの機能はいかがですか?

青山:今はCS5を使っていますが、その前はCS2、その前のバージョン6の頃はかなり使っていました。だから新しい機能のすごさが分かります。コンテンツに応じた塗り、スポット修復とか、いや〜楽ですね(笑)。モデルさんのホクロとかシミを消すとき、これまでもそういう機能はあったんですけど、CS5は、なんとなくポンポンってやるだけでもすごくキレイになるんです。

−−ボタンで一発なのに自然ですよね。

青山:そうなんですよ。馴染むんですよね。違和感ないし。そういう修正はさすがにPhotoshopの出番ですよね。その辺は今後も大いに使っていくと思います。

−−レタッチは加工というよりも、いらないものを取るっていうような使い方なんですね。

青山:そうですね。普通は操作手順を勉強しないとできないような処理が一発でできてしまう。iPhoneのアプリなども進化していて、Photoshopで範囲指定して邪魔なモノを消すようなことをiPhoneで普通の人がやっていたりします。でも、そんな時代になればなるほど、僕はそういう加工には頼らない写真を撮りたいなって思うんです(笑)。

−−例えば、どうしても構図的に電柱が入ってしまうような写真があったとして、そういう場合は後から電柱を消すことを想定してシャッターを切るのか、あるいは電柱を生かす方向で撮るのか、どちらを選ばれますか?

青山:僕は電柱を生かしますね。レタッチ慣れしてる人はこれ後で消しましょうってなるだろうけど、僕の場合は、仮に自分がレタッチの技術でキレイに消せるようになってもそうしない気がしますね。

−−あるがままを捉えようと?

青山:そうですね。例えば「ソラリーマンは合成ですか?」ってよく聞かれるんです。現場でも、電線があって、どうしたら電線を越えて跳んでいるように見えるかを考えたりするんです。背景にかぶらないように、全部空に抜けているぐらいに足が浮いてれば、すごい高く見えるみたいな。

「ソラリーマンは合成ですか?」って聞かれて、「合成です」って答えたら絶対がっかりされると思うんですよ。やっぱり合成って感動しにくいなと思うんです。自力で跳んでいる姿がいいんですよね。

−−青山さんはスター・ウォーズは作らないけど、実写映画は撮るみたいな感じですか?(笑)

青山:完全にそうですね。時代にマッチしているかは分からないですけど。写真って「真実を写す」って書きますけど、実はウソ吐き放題だなって思うんです。合成云々でなくても、女性を撮るだけでも、角度を変えるだけで全然違うイメージになるし、写真ってフレーム外で何が起こっててもいいので、ジャンプ写真でも普通に跳んでるんですけど、地面を写さなければ空を跳んでるみたいに見えるし。

僕の考える写真における個性って、視点だと思うんです。自分が低くなって、相手のジャンプを高く見せる工夫っていうのは、パソコンじゃできないですよね。自分の目線のところで撮った写真をPhotoshopで視点をローアングルに変えることさえもでき始めたら、ちょっと今までと考えが変わるかも(笑)。

−−でもそれって将来的にはありえそうですよね? 被写体を3Dで撮ることができれば、コンピュータ上ではモデリングデータと同じ扱いで、自由にアングルを変えられるようになるかもしれません。

青山:そうなったら自分はどうするのか考えますね。駆使するのかな。どうなんだろう?(笑)。




▲スクールガール・コンプレックスの2011年の作品より「Lend Her Hands」(クリックで拡大)

▲スクールガール・コンプレックスの2011年の作品より「Icon」(クリックで拡大)



−−今はデジタル環境でお仕事されていると思うんですが、フィルムはそろそろ終了ですか?

青山:本音を言うと、そろそろフィルムを捨て去りたいところなんですけど、写真展とか大きくプリントしたときに、まだデジタルを信じきれない自分がいます。たとえ4,000万画素で撮っても、4×5の方がいいかなみたいな。

−−今後のデジタルツールに期待することは?

青山:なんでもできるんじゃないかって段階まできてるとは思いますし、これからも信じられないくらい進化していくと思うんです。ここ2、3年で写真を始めた人には分からないかもしれないですけど、僕はLightroomの使い勝手が暗室作業と似ていることに、とても驚きました。

やっぱりiPhoneが象徴的だと思うんですよね。カメラのことを何も勉強してなくて、絞りとか一切知らない人でもいい写真が撮れちゃうわけだし。でもそれって理想だと思うんですよね。そうなると、ますますプロとアマチュアの差は、撮る時の視点や発想力にかかってくるのではないかと思います。

今後期待することは、レタッチなどの傾向をコンピュータが学習していって、自分の作風をワンタッチで再現できるような学習機能なんかは面白いかもしれないですね。

−−ありがとうございました。




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