●PCJ Interview
・File12 飯田かずな
・File11 河合俊哉
・File10 酒匂オサム
・File09 P.M.Ken

・File08 高木こずえ
・File07 太田拓実
・File06 鈴木心
・File05 青山裕企
・File04 小山泰介
・File03 奥本昭久
・File02 常盤響
・File01 辻佐織

●Company File
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
・File06 駒村商会
・File05 ジナー
・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
・File01 ライカ

●Overseas Photographers
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
・File07 Todd McLellan
・File06 Mona Kuhn
・File05 Diana Scheunemann
・File04 Albert Watson
・File03 Nick Meek
・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen

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●フォトグラファーのためのPhotoshop Lightroom

−−Lightroomの最初のバージョンの登場はいつですか。


栃谷:2006年に、A日本発売が2007年3月23日にバージョン1。2008年にバージョン2です。

−−Photoshopだけではカバーしきれないニーズなど、どういうきっかけでLightroomを作ることになったのでしょうか。

栃谷:Photoshopがフォトグラファーの方に使われていることは、もちろん認識していたのですが、Photoshop自体、クリエイター、デザイナー、印刷、ゲーム業界、ビデオなど、多種多様の分野で幅広く用いられてくると、プロのフォトグラファーの方から「自分のワークフローでPhotoshopを使うには少し重たい、あまり必要のない機能がある」とずっと言われていたんですね。

そこでフォトグラファーのためのツールが何かできないのかなというプロジェクトから、Photoshopの機能を選定してできたのがLightroomです。またLightroomは、アドビシステムズがパブリックベータという形でお客様に評価をしていただいて、その情報を吸い上げて最終的な製品にすることを初めて行った製品でもあります。その甲斐もあってバージョン1からすごく完成度が高いものであったということは、使われている皆さんから言われます。

−−Lightroomは現像ソフトという認識でいいのですか、それとももっとPhotoshopっぽいことができる多彩なソフトなのか、位置づけはどう考えればいいのでしょうか。

栃谷:繰り返しになりますが、Lightroomはフォトグラファーの方の製品です。撮影後のコンピュータ上での仕事はすべて行えるというのが基本的な開発および製品をバージョンアップするためのコンセプトになっています。なので、現像ソフトという認識は間違ってはいません。当然、そこから色など、自分の絵作りをしていく中で、こだわりの1枚に仕上げていく作業のためのツールでもあります。フォトグラファーは写真を撮るのが仕事ですので、なるべくコンピュータから離れたいでしょうから、Lightroomでは、なるべく作業が簡単で簡易になるように設計されています。

−−実際、カメラマンさんのほとんどはPhotoshopを使っていますが、Lightroomはどのくらいの普及になっているのでしょうか。

栃谷:具体的な数字は申し上げられませんが、アメリカとドイツでは、バージョン1、2に比べてバージョン3が今までの本数の3倍発売されました。印刷から文化的な面を含めてドイツは日本と似ていますので、世界戦略としては、北アメリカがナンバー1なのでそこは重点的に押さえて、その次がドイツ。その市場の施策などを受けて、次は日本というのがLightroomの現状です。

おかげさまで、Lightroom 3の途中からそうでしたが、バージョン4になって出荷本数が今までの数字の倍以上、日本でも出ています。ただ、まだまだPhotoshopの歴史に比べると、Lightroomはまだそこまでの数字はいってはいません。値段的なところも含めて、ポテンシャルとしてはLightroomの方が上なのかなという感じはしています。

−−専用のRAWデータ現像ソフトを付属しているカメラメーカーも少なくありません。Lightroomがもっと浸透する市場があるとすれば、そういった純正のソフトとの競合になるのでしょうか。

栃谷:最近フォトグラファーさんと話をしていて、昔は本体やレンズなど同一メーカーで揃える必要がありましたが、最近は特定メーカーにこだわらないと聞きました。カメラ自体がどんどん性能が上がっているので、中判デジタルを含めてさまざまなカメラやレンズを使う機会がより増えてきているのかもしれません。そうなると、Lightroomを使う機会もより増えてくると思っています。もちろん専用の現像ソフトはあると思いますが、最終的にみなさんが絵作りをしていく上で、それで完結するかどうかだと思います。

例えばアマチュアの写真はプリントしてそこで終わります。ところがプロであればクライアントがいるので納品する必要があり、最終的には印刷物などになります。納品後にPhotoshopやInDesignなど当社のソフトで連携をしていくという意味では、Lightroomを使うメリットというのはどんどん出てくるのかなと思います。

−−最近はプロの方でも、ハイエンドからコンデジまで、いろいろなカメラを使います。そういう意味では現像は一括で行う方がワークフロー的にはシンプルになるはずですね。色合いなどの統一感を出すのも簡単かもしれません。

栃谷:フォトグラファーの方は写真を撮るのが仕事であって、ビジネスであるが上、ワークフローを整えなければいけない。時は金なりということがあるのでいちいち別のソフトを覚えていく時間や労力を考えますと、1つのソフト=Lightroomを使うメリットというのはこれからどんどん出てくると思います。今でもそういったお声をいただいています。

−−専用ソフトにはそこにしかない機能があるから離れられないという言い方をされるカメラマンもいらっしゃいます。

栃谷:開発には常々、日本だけでなく世界中のお客様からフィードバックをいただいています。そのような声は直近のバージョンでの実現は難しくても、将来のバージョンでは確実に反映されます。良い例を上げますと、バブリックベータを行っているときに、現像するためのサムネールを作るために読み込みが遅いとよく言われていたんです。そういったものをフィードバックして、より読み込みを簡単にするというのはバージョン2から対応できたというような工夫はしています。これはPhotoshopで培われた開発のノウハウやお客様に必ず還元するという開発の姿勢です。

−−今後、Lightroomの機能拡張が進み、Photoshopに近づく可能性もありますか。

栃谷:高機能を意識するというより、フォトグラファーの方が必要であると思われる機能はLightroomに入れていきます。PhotoshopとLightroomの2つをみていて面白いと思うのが、LightroomはPhotoshopの資産があるので、フォトグラファーのニーズをどんどん実現しているソフトなんです。

Photoshopの場合は、レイヤーなど今では分かりやすいですが、当時では開発の人間も用途が分からなかったりというような機能もあって、マーケットニーズを吸い出すというよりは、マーケットサプライズを生み出す製品であるのかなと思います。想定しなかったものをPhotoshopが提供して、そこで「Photoshopマジック」と言われる形で、さまざまなバージョンごとに面白い、楽しい、高機能というサプライズを起こさせる機能をお客さまに提案しているのです。



Lightroomの編集画面(ハイライトの調整)(クリックで拡大)



●Photoshopは動画編集の時代に

−−Photoshop自体の進化の方向性も「コンテンツに応じた〜」機能や、動画の編集もできるようになってきましたけれども、Premiere Proとの関係はどうなのでしょうか。

栃谷:もともと動画は、キヤノンさんが5D Mark IIを投入してデジタル一眼での動画撮影が普及してきたという経緯があります。高品質でプロでも使える品質の動画がデジタル一眼で撮れるようになったので、フォトグラファーも動画をやらなきゃいけないという流れを作ったわけです。

そうなると、市場のニーズに答えるのがアドビの役割なので、Lightroomでも動画の編集ができますし、Photoshopでも写真を取り扱うような形で動画編集ができること、そして今回のCS6からスタンダード版でも動画対応しているのは大きいと思います。

ただ、弊社にはPremiere Proという動画編集の専門ソフトがあるので、あくまでフォトグラファーがレタッチ感覚で動画の編集を行えるのがPhotoshopの動画編集の強みです。より高機能な編集を行うには専用のPremiere Proをお勧めします。そして、フォトグラファーが今回のPhotoshopをきっかけに動画編集を始められ、これまでのワークフローから一歩踏み出していただければとも思います。

−−タイムラインの編集はPhotoshopでもできるのですか。

栃谷:PhotoshopではCS3 Extendedからタイムライン上での動画編集ができました。今回大きなことはPhotoshop CS6ではスタンダード版でも動画編集が行える点です。

−−タイトルの文字入れなどはPremiere Proの仕事ですか。

栃谷:Photoshopでも文字入れが出来ちゃうんですよ。

−−一通りはできるのですね。

栃谷:細かい話でいうとトランジションのバリエーションが1つしかないのですが、例えばラフである程度のビデオ編集はできちゃうんです。さらにPhotoshopの中でビデオレンダリングもできます。そこで私のおすすめとしては、撮影の現場でクライアントさんとラフな動画を見ながら話をするということができると思うんです。そして納品データはそのラフ編集ビデオをもとに、専用ソフトで組んでもらう。これが今後の映像制作のワークフローになると思います。

−−撮影現場で行う荒編集はPhotoshopでということですね。


●アドビのクラウドサービス「Creative Cloud」

−−最近始められたクラウドサービスに関して、今後の展開やニーズを含めてお聞きします。

栃谷:2012年からCreative Cloudを本格的に始めたのですが、現在バージョンは1.0ですので、これからお客さまのニーズなどを反映したサービスを提供していくと思います。これまでのパッケージの販売形態とは異なり、Creative Cloudは常にその場で新しいサービスやアップデートなどを提供いたしますので、お客さまはバージョンアップ料金を気にせずに、新しいバージョンのサービスをどんどん受けられるという点が、これまでとは異なる価値だと思います。いろいろなご意見は承るとは思いますが、フィードバックをいただいて、よりお客さまの満足度が高まるサービスにしていくというのが今後のクラウドの展開になると思います。

−−月々5,000円でCS6のすべての機能が使えるということですね

栃谷Lightroomも使えますので、CS6以上という形でしょうね。

−−例えば何かの機能を使うときにはクラウド側で加工するのですか。

栃谷クラウドといってもサービス内容はさまざまです。アドビのCreative Cloudは、実際に各アプリケーションをダウンロードしてインストールしていただきます。ローカルで処理するという点では従来のパッケージ版と同じです。では何がクラウドかといいますと、Creative Cloudではクラウド上でのデータの共有ができます。例えばクラウドのディスクストレージをベースに作業をしたファイルをアップロードもしくは同期しておけば、そのままiPadで閲覧できたり、Photoshop Touchでの作業が可能になります。また、出版関係で今後電子書籍にしたいときは、InDesignをダウンロードして、電子ブックを作れば、そのクラウドサービスの中にDigital Publishing Suiteの機能が入っているので、クラウドに上げて電子書籍化することも可能です。

まずディスクストレージ、そして今までと違う形態として各アプリケーションの販売ではなく、月々のサブスクリプションでのアプリケーション使用料をいただくというのが今までと違うアプローチです。

−−月々5,000円、年間6万円ですから複数のソフトを使う方にとっては安いですね。

栃谷全部のソフトをお使いになる方は総額で40万円以上、Photoshop Extendedだけでも実際は14万円ですから、複数お使いになる方はお得ですね。

−−ローカルの端末は何台まで可能ですか。

栃谷一人2台です。それもMacでもWindowsでもどの組み合わせでも大丈夫です。ただし同時起動はできないことをご注意ください。




Photoshopとともに成長してきたアドビの30年間の歩み(クリックで拡大)

開発者クノール兄弟とPhotoshopの歴代のパッケージ(クリックで拡大)


現在のPhotoshopファミリーの棲み分け(クリックで拡大)



●Photoshopを楽しんでほしい。

−−最後にPCJの読者にメッセージをお願いします。

栃谷PCJの読者さんはプロもいればハイアマチュアもいらっしゃると思います。ぜひPhotoshopを楽しんで使ってください。この製品はクリエイティブな製品です。業務の関係上で、しかたなく使っているソフトもいろいろあると思いますが、それだと楽しくないじゃないですか。自分の絵や写真がこんなにも変わったり、思い描いたもの、なかったものもできてしまうということを楽しんでほしいです。

「自分のクリエイティビティが高められる=驚き」というような形で、フォトグラファーの方がコンピュータの前に何時間でもいられるソフトなんです。

−−デジタルフォトのあり方も変わりましたね。シャッター一発で終わらせるフォトグラファーもいらっしゃいますが、おそらく多くのフォトグラファーは撮ってからパソコンに向かって仕上げるという行程までを含めて写真と考えるようになっています。Photoshop、Lightroomでの時間というのは必要になっていますね。Photoshopを「すごいオモチャだな」というフォトグラファーもいますからね。

栃谷でもやはりそういうものなんですよね。楽しんでやっていると納品データは終わっているのにまだ仕事をやっているような感覚があるじゃないですか。それって次の新しい考えとか発想とかができてくる1つのチャンスでもありますし。

−−Photoshopをいじっているといつまでも終わらないという話もあります。

栃谷それはもう、完成が分からない絵画と似たような感じでしょうね。

−−ありがとうございました。





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