●PCJ Interview
・File13 佐野円香
・File12 飯田かずな
・File11 河合俊哉
・File10 酒匂オサム
・File09 P.M.Ken

・File08 高木こずえ
・File07 太田拓実
・File06 鈴木心
・File05 青山裕企
・File04 小山泰介
・File03 奥本昭久
・File02 常盤響
・File01 辻佐織

●Company File
・File10 ペンタックスリコーイメージング
・File09 ハッセルブラッド・ジャパン
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
・File06 駒村商会
・File05 ジナー
・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
・File01 ライカ

●Overseas Photographers
・File10 Peter Kaaden
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
・File07 Todd McLellan
・File06 Mona Kuhn
・File05 Diana Scheunemann
・File04 Albert Watson
・File03 Nick Meek
・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen

 page 02

Digital Tools



▲作品(2012年頃)(クリックで拡大)




●Photoshopでフィルムを追い求める

−−Photoshopを初めてお使いになったのはいつですか?

佐野フィルム時代はスキャンまではしていなかったです。ただ、パソコンは大好きで、高校生のときから使っていました。美術系の学校だったので、Illustrator、Photoshopの使い方を学べて、パスの練習とかをやっていました。最初はPhotoshopを写真を加工するソフトとしては扱っていなかったです。

−−当時はお絵描きソフトだったんですね。ちなみにデジタルカメラはずっとキヤノンですか。

佐野:デジタルになってからはキヤノンで、銀塩はずっとニコン、中判はペンタックスです。今は仕事で中判デジタルが必要なときはPhase Oneを使っています。

−−今でもフィルムの仕事をされたりもしているんですか。

佐野:ごくまれですね、許されるときだけ。納期までタイミングがあったり、グループ展で写真が撮れるときにはフィルムを選ぶこともあります。

−−フィルムは好きですか。

佐野:私はデジタルでもフィルムを追いかけてるんですよ。やっぱりデジタルにはないものがあるじゃないですか。だからといってフィルムと同じものを作りたいわけじゃないんですけど、少しでも近い引っ掛かりが作れる写真を目指しています。Photoshopは、そこを作っていくツールだと思うんですね。レンズの公差、レンズ特性も好きです。

−−なるほど。レンズの個々の特性や歪みなどは、そのまま活かすほうですね。

佐野:だから、わざわざそのレンズを選んだりする感じですね。自分がこれまでこの写真素敵だなって見てきたもの、撮ってきたものにどれぐらい近づけるか、ですね。Photoshopでは、例えば、部屋の中の蛍光灯のちょっと渋い、グリーンぽい色味で、周辺がちょっと落ちていて、でもなんかいいんだよねえっていう絵を描いている感覚ですね。

それと撮影時に、これじゃないんだよなと感じているときは、後でこういう色にしよう、こういうふうな沈みのある写真にしようと考えながら撮っています。やはりデジタルカメラの方が明るく映るというか、蛍光灯の明かりを拾っているような感じです。例えばフィルムだと部屋の奥の方は沈むのに、デジタルだとわりと起きています。そういうときは、この違いを意識して、フィルムのイメージで、後からPhotoshopで調整していく感じですね。

あとは、デジタルカメラはすごくきれいに写るので、わざと感度を上げて暗めに撮って、それを少し上げるとザラついていいとか。そういうことをわざわざやっていますね。

−−連結撮影の場合はどうされていますか?

佐野:連結撮影にはキヤノンを使っています。珍しいって言われるんですけど、なんでキヤノンのソフトで転送をかけているかというと、純正だからです。アシスタントのときに、転送エラーとか、メモリチップがダメになったりとかいう経験があって、そのときに純正のソフトを使っていることが何よりの保証なんですよ。お仕事として撮っている以上、どこに責任があるという話をするのも嫌ですけど、保険的に純正のもので転送はかけて、現像は別のソフトでというのが今のところの基本になっていますね。

−−撮影はほとんど連結ですか。

佐野:場合によりけりですね。「アニマルガールズ」は連結していました。連結しながら制作スタッフで共有して、モデルさんには見せないほうがよさそうなときは一切見せずにこっちだけでコントロールして、「ほらあ、可愛くできてるでしょう」っていうときだけパッと見せてということですね。



▲作品(2009年頃)(クリックで拡大)

▲作品(2008年頃)(クリックで拡大)



●Photoshopはディテール追求のための道具

−−先ほどレンズの特性は生かす方だとおっしゃっていましたけども、パースを垂直に直したり、そういう機能はお使いですか。

佐野:Photoshopにもともと入っているレンズ補正は使っています。レンズ補正と、広角レンズの、ちょっと引っ張られたり、湾曲してしまったりっていう場合などに使っています。例えば服の商品撮影とか、脚立に乗って俯瞰で撮っても、どうしても奥まってしまうときは直しています。目で見ている状態と違うふうになっていたら気になるので。昔ワープとか遠近の機能で直したりしていましたけど、今はすごく便利ですね。

−−なるほど。ブツ撮りもけっこうされるんですか。ブツと人間はどういう割合でしょうか。

佐野:6対4ぐらいで商品撮影の仕事はあります。メーカーのお仕事だったりとかカタログ的な撮影はわりとやっています。雑誌などはモデルと商品が一緒になっている事もあるので、モデル撮影をして、そのとき着用した服をあとで商品撮りしてという流れはけっこう多いかもしれないですね。



▲stav strashko(クリックで拡大)



−−Photoshopでよく使う機能はなんですか。

佐野:トーンカーブを一番使っていると思います。明るさ・コントラスト、色相・彩度も使っています。修正は、髪だけ触ったりもしますし、外国人モデルだったら瞳だけ触ったりとかそういう使い方もしています。

−−自分の仕上がりイメージの基準は、例えば現場でモデルさんを見たときの印象を第一で作業するのですか。それとももっと一般的な感覚を重視しているんですか。


佐野:いろいろです。撮っていてこのメイクさんのリップの色、絶妙でいいなと思うときがあるんですけど、日光の下で撮るとうまく表現されないこともあるので、後でPhotoshopでリップの色だけ、赤味なのか黄色味なのかを延々と触り続けていたりとか(笑)。見ているうちに分からなくなるから、一度プリントアウトして、ご飯食べてからもう1回見て、また、違うんだよなあっていうことの繰り返しとか(笑)。

今はCDジャケットの撮影もけっこうあって、私がディレクションすることも最近増えているので、そういう時は自分の中で思い描いていたイメージを追求します。このトーンの出方はレンズなのか、ボケ足とか、そういうのをPhotoshopで作ってみたりもします。

多分、こういったディテールは私以外には分からないところなんです。だけど、要は自分が好きだと思っているものに、限りなく突き詰めていくことが多いかもしれないですね。

−−フィルムの時代はシャッターを切った時点でだいたい決まりました。今はポストプロダクションがいくらでもできます。佐野さんはどちらに比重を置かれていますか。


佐野:私は、基本的には写真は記録だと思っているので、とにかく現場で限りなく仕上がりに近いところまでもっていきたい。レタッチはあくまでブラッシュアップだと考えているので、そのために撮るまでにもかなり研究します。

私、カメラマンとして恥ずかしいことですがライティングや、ライティング機材の知識があまりないんです。でも、とにかく頭の中に絵だけがひたすらあるタイプなんです。こう撮りたい、これは違うって、スタジオマンの方に、どうしてもこういう表現がしたいっていうのを一生懸命説明して、ライティングを作っていただいて、これだよっていうところに着地させていく感じです。

−−スタジオマンと一緒にイメージを詰めていくんですね。そういう意味ではシャッター一発派なんですね。


佐野:そうですね。現場で限りなく最終イメージまで持っていくことを妥協したら、私は進化できなくなっていってしまうので、とにかくストイックに、作りたい絵に関しては現場で限りなく詰めます。



▲作品のレタッチなどをPhotoshop上で行っている(クリックで拡大)



●長く見ていられる写真を目指して

−−今、Photoshopなど、ポストプロダクションのワークフローの中で、自分の表現を実現するための機能的な要望はありますか。


佐野:フィルムに近寄せていく機能ですね。ノイズ、ダストを乗せても、やっぱり「Photoshopで乗せたノイズとダスト」になっているから、そこがもうちょっと、分からないというところまでいったらいいなって思います。

−−デジタルの写真は、フィルム的な、化学反応的なものがないからつまらないのですか。


佐野:デジタル自体が好きじゃないわけではないんですけど…好きな種類のフィルムではないという感覚です。つまり好みのフィルムではないんです。なので、別のメーカーのフィルムの方が私は好きだなっていう気持ちがやっぱりあって。

−−なるほど。ちなみにフィルムは何を使っていたんですか。


佐野:コダックのフィルムをいろいろチョイスしていたことが多かったです。それかフジか。でもわりとナチュラルな色のもの、赤が目立たないフィルムを探していたときが多かったですね。淡いトーンが好きだというわけでもないんですけど。

−−クライアントありきの写真と個人的な作品は両方撮っているのですか。


佐野:ちょくちょく、最近また始めた感じですね。この1、2年くらい。

−−個人作品のテーマはどういう感じですか。


佐野:ビューティーや女の子のポートレートを撮っています。仕事で最近、ビューティーっぽいものを求められることが多いんです。女性カメラマンというのもあるのか、要はヘア系だったり、女の子のヌードに近いものとか、そういう撮影が多いですね。

個人作品ではとにかく「わあ、きれいだね」っていうところを追求したい気持ちでいます。レタッチの力ももちろんですけど、肌がどうとかそういうことではなくて、表情だったり、その写真の空気感で、何も考えずに「わあ、すごいきれい」って言ってから、あとの感想が出てくるような写真。そういうものをすごく追求したいなっていう気持ちになっています。

子供の撮影の仕事も増えているんですけど、2歳とか3歳ぐらいの子ってお花とかを見ても「わあ、お花きれいだねえ、すごいねえ」って、直感的に感じたことを言ってるじゃないですか。いろいろなことを考える前に、自分の根底の感覚で「わあ、きれい」と思えるものを今はとにかく作りたいです。

−−ご自身の根底にある感覚をどんどん表現していきたい。


佐野:そうです。“いい写真”の基準ってないじゃないですか。写真学生の頃から自分で今でも思っているのは「長く見ていられる写真」です。印象的、ではなくて、長く見られるものが私にとっては一番“いい写真”。持って帰って部屋に飾りたくなるのが、私の目指す“いい写真”だなと思っています。

−−どうもありがとうございました。




page 01





↑Page Top


| ご利用について  | 広告掲載のご案内  | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |
Copyright (c)2010 colors ltd. All rights reserved